こんにちは!
このブログを運営している理系しまびとです。
この記事では、日本の大学に所属している理系の大学生・大学院生に向けて、研究留学のメリットとデメリットをまとめてみました。
僕はこれまでドイツで1年間、アメリカで1ヶ月ほど、修士課程の計2回の研究留学の経験があります。
1週間ほどですが、学部の最後にもアメリカの大学に研究テーマのディスカッションのために訪問したことはあります。
トビタテ留学JAPANのコミュニティを通じて、いろんな研究留学のパターンを話に聞きました。
このような経験が少しでも、研究留学をしたいと思っている理系学生の役に立てば幸いです。
こんな方におすすめ
- 研究を頑張りたい理系学生
- 海外で活躍したい理系学生
- 研究留学に興味がある理系学生
この記事を読めば、
経験者の体験談に基づいた研究留学のメリットとデメリットが明確になり、これからの行動や計画づくりに役立てることができます。
もくじ
理系の研究留学のメリットとデメリットとは
個人的には、ほとんどメリットしかないじゃん!と思っているのですが、個人の価値観次第ですよね。
性格や価値観の点で、研究留学に向いている人がいると思います。
例えば、こんな人
- 研究がすき
- 英語が好き・得意
- 国際交流や海外が好き
- バイタリティが高い
すべてを満たす必要はもちろんありませんが、この子は留学した方がいい!と感じるのは、探究心が強く、比較的外交的な性格をしている人です。
外交的な性格というのを噛み砕くと、日本人が少ないかもしれない現地で問題なく、コミュニケーションを取りながら留学ができる人ということです。
英語がヘタクソでも、留学生と仲良くできる人っていませんか?
実は、現地で友達ができなかったり、コミュニケーションがうまくいかずに、留学をうまく楽しめない人がいるのも事実です。
でも、本当に必要なのは「情熱」だと思います!
少しだけ勇気を出せば、引っ込み思案だったり、人見知りな人も大丈夫です。
研究もみなぎるやる気さえあれば、卒業研究レベルはどうにかなります。
それでは、メリットとデメリットとは何のなのか見ていきましょう!
研究留学のメリット
研究留学のメリットを一言で言うと、研究留学をすることによって人生の幅が広がります。
と言っても、曖昧すぎますよね。
一つずつ詳しく解説していきます。
日本で行えない研究・日本で学んだことを留学先で生かす事ができる
最先端の研究ができるとも言えますが、分野によっては日本の方が進んでいる場合もあります。
ただ、実験装置やノウハウにおいて、日本ではできない研究や留学先の研究室ならではの知識を身につけることができます。
分野によっては、そもそも日本でほとんど研究が進んでいないケースもあります。
特に、物理的に気候や環境に左右される農業系の研究は、海外でしか研究できない場合が多いです。
個人的な感覚ですが、研究留学経験者と話していて、8割以上が教授との繋がりか共同研究先に研究留学しています。
よくある共同研究のパターンは、実験装置の関係であるプロセスだけは一方に任せる場合や、理論と実験に分かれている場合です。
日本の研究室にない実験プロセスが学べたり、理論または実験の知識やノウハウを身につけることができます。
また、日本または海外でしかできない研究をしてお互いにデータを補い合ったりすることもあります。
逆に、日本で学んだことを留学先で生かす事もできます。
体験談(日本で学んで留学先で活かす)
例えば、僕の場合は日本で電磁界のシミュレーションをしていました。
そして、実験が中心のドイツの研究室に留学して、理論的に実験データを評価することができました。
これで、留学先の研究室に貢献することができたので、日本で学んだことを活かして論文を投稿することができました。
所属する研究室では当たり前のことでも、他の研究室では重宝されることがあります。
研究留学先でも結果を残したいという人は、日本で学んで留学先で生かすという視点があるといいですね????
異文化コミュニケーション能力がつく
これからグローバル化が進み、日本も超少子高齢化社会となり、外国人労働者を受け入れる必要が出てきました。
自国の課題や地球規模課題に向けて、Z世代(1995年生まれ以降)と呼ばれる僕らの世代は国境を越えて協力していく必要があります。
ここで必要になるのが、異文化理解力や外国語のスキルなど異文化コミュニケーション能力です。
研究留学を通じて、英語力などの外国語のスキルもそうですが、海外で生活することで現地の価値観や文化に触れることができます。
現地の生活の仕方や働き方、学生と教授とのコミュニケーションの仕方や研究の進め方にも、違いが見えてくると思います。
このような発見や学びは、これから働くときや人生の選択をする中で、必ずためになると思います。
日本では常識だと思われていることも、海外では非常識だと認識されることがあります。
その逆も然りです。
科学的な専門性を持つ理系の学生だからこそ、この異文化コミュニケーション能力を身につけることで、そのスキルや知識を存分に発揮することができます。
特に研究を進めていると、専門性が深くなるほど海外の研究者との関わりが増えてきて、コミュニケーションスキルの重要性を感じます。
実は、社会全体が求めているスキルの一つであり、次に説明する就活やキャリアにおいてもいい影響が期待できます。
海外での経験は就活やキャリアに有利
異文化コミュニケーション能力がつくことと関連しているのですが、研究留学によって社会に求められる人材に近づきます。
1,376 社を対象に経団連が行った「2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」では、コミュニケーション能力が最も採用時に重視されるということがわかりました。
続いて、主体性とチャレンジ精神が続きます。
これらの企業が採用時に重視する項目は留学する事で身につきアピールできます。
つまり、研究留学をすることによって、企業が重要視する点を一度で強化することができ、経験に伴った考えやその企業で働きたい思いを伝えれば、説得力が増します。
確かに、研究留学は奨学金の確保や書類の手続き、研究の進め方まで大変なこともあります。
しかし、その分学ぶことがたくさんあり、そこで学べることはこれからの社会に求められることです。
なかなか一歩を踏み出せない人がいたら、ぜひ挑戦してほしいと思っています。
研究留学のデメリット
正直なところ、僕が思いつくデメリットは全て解消できます。
一部はデメリットというより、大変ではありますが留学経験で得られる貴重な経験です。
また、費用や留学のタイミングについては奨学金や期間の調整によって解決する事ができます。
ただ、奨学金を得たり、余裕のある留学スケジュールを組むには1年前くらいからは準備を始めたいところです。
デメリットと考えられることについて詳しく見ていきましょう。
研究テーマを定めるのが難しい
一般的には、学部での卒業研究論文や修士論文は一つのテーマを一貫して行います。
研究留学先のテーマとうまく結び付けられればいいのですが、現実問題では、そうもいかない場合もあります。
体験談(留学に伴いテーマ変更)
実際に、僕は修士課程での留学先で研究テーマを変えました。
日本での約半年間は磁性体についての研究をしていましたが、ドイツでは半導体の研究室に留学しました。
結果として、日本での半年間の研究結果は国内学会で発表はしたものの、主要の研究テーマの関連性が低かったため、修士論文には書きませんでした。
留学先で1年間行った研究内容で、日本に帰国した後データを付け足す形で、修士論文を仕上げました。
しかし、日本で始めた研究が無駄になったとは思っていません。
その知識や経験が、次の研究テーマに活かされていくのを実感したからです。
確かに最速で一番楽な方法で卒業したいという人には研究留学は向いていません。
デメリットとして、研究テーマの変更や卒業論文での擦り合わせが上手くいかない場合は確かにありますが、学びに行く姿勢が大事です。
大変なことが起こっても「これもいい経験だ」といういう考え方とモチベーションでいることが大事です。
休学の必要性
良くある質問内容として、留年や就活に関するものが多くあります。
長期で留学するタイミングは修士がおすすめです。
大きく、理由は2つあります。
①日本で専門知識を身につけてからのほうが留学が有意義になる
②交換留学制度などで休学せずに研究留学しやすい
とは言っても、個人的には休学してでも、ある程度専門知識がついてきたら留学した方がいいと思っています。
どうしても留年(休学)したくないという人は、休学(留年)する必要がないパターンとして以下のような方法があります。
交換留学の制度を使う
交換留学を利用すれば休学せずに済みます。
基本的には、学費は在籍する大学に納めて、留学先で授業を受けて研究を進めます。
実は僕も交換留学制度を利用して、休学せずにドイツに1年間研究留学しました。
体験談(交換留学制度で研究留学)
修士課程の終了要件を満たすために、修士1年の前期にできるだけ授業を取りました。
そして、修士1年の後期から修士2年の前期までの1年間で研究留学しました。
留学中は1つだけ授業を受講し、修士論文に必要なデータを収集できるように、ほとんどの時間は研究に費やしました。
残りの半年で、残りの授業を少しだけ履修して、修士論文をまとめて卒業しました。
中には、ダブルディグリープログラムを実施している大学もあります。
ダブルディグリーとは、一気に2校の大学からの学位がもらえるプログラムのことで、2年で2つの修士を修了できることが多いと思います。
このプログラムであれば、留年せずに研究留学を実現することができますね。
長期休暇を利用して短期で研究留学する
長くても2ヶ月くらいが限界になるとは思いますが、大学の長期休暇期間中に研究留学することも可能です。
僕は、申請書や面接も行ってJASSOから奨学金をいただくこともできたので、経済的なサポートの可能性もあります。
詳しくは、各大学で確認してからどのような選択肢があるか探してみてください。
体験談(長期休暇を利用した研究留学)
僕の大学では、夏季海外インターンシッププログラムというものがあり、そのプログラムを利用してインターンシップ生として研究留学しました。
ドイツに留学する前の、修士2年の夏休み期間に1ヶ月ほどアメリカで研究しました。
ここでは新しい研究テーマに従事しましたが、1ヶ月では足りずにドイツ留学中も定期的にミーティングを行い、最終的に第二著者として論文を投稿することができました。
この研究留学をきっかけに、海外大学院に進学することになりました。
就職活動に支障が出る可能性
就職活動については、思い切って留年して1年遅らせるか、就職活動に影響しないようにうまく期間を調整する必要があります。
現地の文化に触れたりまとまった結果を出すために可能であれば半年以上の研究留学がおすすめですが、期間を短縮することで就活を通常通り進めることができます。
例えば、修士1年の夏から就活が始まる2月から3月くらいには帰国するパターンです。
また、研究留学をする人の中には、就活期間の1、2ヶ月の間だけ一時帰国する人もいます。
最近ではオンラインでの採用を実施している企業もあります。
留学計画を立てる前に、希望する就職先の調査を進めて、どのような対策が打てるかを検討するといいと思います。
費用の問題
費用がかかる場合は確実にデメリットですよね。 安い方がいいに決まってます。笑
例えば、場所にもよりますが、1年間の留学とすれば航空券と生活費だけでもざっくり100万円は必要になるでしょう。
現地で授業を受けるとなると、アメリカの大学院だと1教科あたり10万円くらい必要になることもあります。
貸与型の奨学金をもらったり、親から借りたり、バイト代を貯めたりして資金を貯めることも可能ですが、一番の解決法は給付型の奨学金をもらうことです。
研究留学なら、日本学生支援機構やトビタテ留学JAPANの奨学金を利用することもできます。
奨学金の調べ方から申請書のコツまでこちらのページでまとめています。
是非参考にしてみてください。
奨学金の参考記事
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経験談に基づいた留学費用の解決策を紹介。
体験談
アメリカでの1ヶ月程度の研究留学では日本学生支援機構の夏季インターンシップとして奨学金をいただきました。
ニューヨークでの生活には足りなかったので、残りはバイト代で賄いました。
体験談
1年間のドイツでの研究留学では、トビタテ留学JAPANから月16万円の支援をいただきました。
どちらも給付型の奨学金で、返還する必要はありません。
日本ではバイトもしていたので、むしろ、トビタテ留学に関しては日本で生活するよりも経済的に余裕のある生活ができました。
ありがたいことに、日本では奨学金は比較的取りやすい環境にありますし、数ヶ月であればアルバイト代を貯めて実現できる範囲です。
情熱を持って行動すれば、研究留学期間は短くなっても経済的な問題も解決して必ず実現できると思います。
最後に
この記事では、ドイツとアメリカで研究留学を経験した僕が体験談を元にメリットとデメリットについて解説しました。
個人的には、一度でいいので海外で研究を経験して欲しいなと思っています。
日本と日本人のいいところが分かったり、他の国と比較して、日本のココはまずいと思うこともあります。
研究室から一歩外に出ると、当たり前だと思っていたことが全然当たり前じゃない事が見つかります。
自分の肌で感じることで格段に視野が広がり、価値観が変わり、人生の選択肢が広がります。
専門性を持つ理系の学生だからこそ、世界に視野をおくことで、活躍の幅はどんどん広がっていきます。
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