こんにちは、ブログを運営している理系しまびとです。
アメリカの海外大学院に博士課程進学したら、何年かかるんだろう。3年? 5年? と疑問に思っていたり、博士課程プログラムの内容が気になっていたりしませんか?
この記事では、アメリカの海外大学院における博士号取得までのスケジュールを解説します。
僕の大学で配布されたスケジュールの目安を紹介し、実際に大学院で授業受けたり研究を進めたりして感じたことをまとめました。
こんな方におすすめ
- アメリカの博士課程って何年かかるの?と疑問に思っている方
- アメリカと日本の博士課程の違いって何?っと思っている方
- 海外大学院の博士課程(PhDコース)に進学したいと思っている方
僕は日本で修士を取得してから、アメリカの博士課程(PhDコース)に進学しました。
日本の博士課程は多くの場合、3年間かかります。
アメリカの博士課程でも、あわよくば3年で卒業したい...と思っていましたが、かなり難しそうです。
あくまで、僕の経験に基づいて書いてあるので、
一つの体験談・一人の意見として受け止め、他の方のブログや大学のHP、本などからも情報を集めるようにしてください!
この記事を読めば、PhDコースを修了するのに必要な期間の目安が具体的に分かります。
さらに、授業や試験の大学院生活の詳細も一例の体験談ですが紹介しています。
ただスケジュールは大学によるので、詳細は希望の大学の公式HPで確認してください。
もくじ
アメリカの博士課程の年数とスケジュール
アメリカの博士課程を修了するのに必要な期間は、通常5年間です。
この5年というのは、学費が無料になる期間であったり、奨学金が受給される期間であり、大学院側の推進するスケジュールだと捉えていいと思います。
僕の大学院側から支給される奨学金も最大5年間となっています。
しかし、博士号取得までに平均7年かかるとも言われていて、さらにアメリカでは約50%の学生が途中で辞めてしまうようです。
日本人は真面目なお陰か、そんなに高い割合でドロップアウトしている印象はありませんが。
でも、実際に、僕が2年前に研究留学していた時にいたPhD学生も今は辞めてしまっていました。
結論、何年かかるかは個人的によって違います。
既に修士を取り終えて、優秀な方であれば3年で卒業することも可能だと思います。
ただ授業にとられる時間が長いため、修士取得後であっても、3年間で博士を取るのは日本よりも難しいと思います。
この記事では、なぜ5年かかるのか、海外大学院生活の詳細を踏まえながらお伝えします。
【例】博士課程の学位取得までのスケジュール
僕の大学院のスケジュールを例に紹介します。
以下に、僕の大学院を例挙げてスケジュールを記載しました。
(例)アメリカの博士課程のスケジュール
※第一試験、第二試験とは「Qualifying Exam」と呼ばれるものです。
セメスター | 内容 | マイルストーン | 授業料 |
1st | 【授業】12~15単位 | 授業料免除 | |
2nd | 【授業】12~15単位 | 第一試験 | 授業料免除 |
3rd | 【授業】~12単位 | 第一試験〆切 | 授業料免除 |
4th | 【授業】+【研究】開始 | 授業料免除 | |
5th | 【研究】 | 第二試験 | 授業料免除 |
6th | 【研究】 | 第二試験 | 授業料免除 |
7th | 【研究】 | 第二試験 | 授業料免除 |
8th | 【研究】 | 第二試験〆切 | 授業料免除 |
9th | 【研究】 | ディフェンス | 授業料免除 |
10th | 【研究】 | ディフェンス | 授業料免除 |
11th | 【研究】 | ディフェンス | 授業料自費 |
12th | 【研究】 | ディフェンス〆切 | 授業料自費 |
10thセメスターが5年目の最後にあたるセメスターです。授業料免除となるのはここまでになっています。
また、第一試験〆切までに通過できなかった場合、授業を支払って在学することも可能とのことです。
必修単位が多いため、始めは研究ではなく授業を取ることになっています。
通常、始めの2~3セメスターは授業を受けて単位を取り、その後、研究することになります。
僕は1セメスター目から研究を始めていますが、僕の周りでは他のPhDの学生は研究を始めていない学生の方が多い印象です。
十分な必修科目数を満たすまでは、授業優先という感じです。
必修科目数について
僕の大学院の場合、全部で60単位必要で、そのうち12単位は研究から出されます。
そのため、残り48単位を授業を受けて取る必要があります。
1つの授業(週に2時間45分)が3単位なので、16科目を取る必要があるということです。
日本で修士を取り終えた人が博士課程に進学する場合、単位変換も可能です。※詳しくは各大学院に問い合わせてみてください。
専門科目が12単位分あると仮定すると、36単位で済みます。
追記:
僕の友人が通う大学では、単位互換は推進されていないそうです。
この辺りの方針は各大学によって違うようなので、各自大学側か教授などに確認してみてください。
単位履修で1年~2年かかる
36単位だとしても、12科目分にあたり1セメスターで4科目履修しても単位を取り終えるのに3セメスター(1年半)かかります。
日本の博士課程だと履修する授業は少ないので、日本の方が早い段階で研究に集中できると思います。
この1セメスターあたり4科目履修するのは、研究をしながらだとなかなかヘビーです。
早く研究に集中したいので4科目履修していますが、まわりは大体3科目履修しています。
授業について、授業1回から2回で教科書1章分進むペースで授業が進みます。
授業自体に週3時間×4時間=12時間取られ、さらに毎回 or 2回に一回宿題が出る授業が多いので結構大変です。
さらに、多くの授業ではプロジェクトという大きめの宿題があり、チームになって課題に取り組んだり、シミュレーションプログラミングを組んだり、ソフトウェアを使ってシミュレーションする課題が出ました。
授業によって異なりますが、中間試験(Midterm Exam)が1回か2回、最終試験(Final Exam)が1回あります。
正直、今の僕は研究がしたいのに授業が大変で追いついていないという状態です。
当たり前ですが、英語で3時間授業を受けて、教科書を読んで、宿題をして、1セメスターあたり2回~3回ある試験勉強をする必要があります。
英語には慣れているつもりでしたが、実際やってみるとかなり労力が要ります。
3時間、ネイティブ並みの速さで知らないことを勉強することがここまで大変だとは経験するまでわかりませんでした。
日本の修士でできるだけ単位を取っておくべき
もし日本で修士を取得してから、海外大学院への進学を希望しているのであれば、修士で単位変換可能な単位をできるだけ多く取っておくことをお勧めします。
ただし、単位互換が可能かどうか、その基準は何か、を留学先の大学院側に確認してください。
可能であれば、大学のシラバスや授業一覧にアクセスし、似たような科目名の科目を履修してください。
単位変換可能かどうかは、基本的に授業の内容が同一であると判断されるかどうかで決まります。
僕の場合、いまの大学に専門に近い材料系の科目が少なく、日本で電気科の材料系の科目ばかり取っていたせいで単位変換に苦戦しています。
先に進学する大学のシラバスを調べて、日本でコンピューターサイエンス系の科目を取っておけばよかったです。
適性・資格試験「Qualifying Exam」
アメリカにも日本の博士進学前の適性試験にあたるような試験があります。
この試験のタイミングや内容は大学院や学部によって異なります。
僕の大学の場合、以下のようになっています。
第一試験は「履修した科目から4つ選び、それぞれの教員の下、試験を受けて合格すること」
第二試験は「研究論文のテーマについてプレゼンテーションを行う」
第一試験は担当教員によって異なるようで、セメスターの最終試験に似たような筆記試験であったり、口頭で質問に答えたりするようです。
これらの試験を期限までに通過しなければ、授業料の支払いを求められたり、奨学金の受給が止まってしまったりします。
僕が大学側からもらっている奨学金も、毎年審査があり、悪い成績や試験の〆切に間に合わないと剥奪される可能性があります。
奨学金がなくなってしまった場合も、指導教員によって給与として生活費をサポートしてもらうことは可能ですが、支払ってくれるかどうかはわかりませんし研究費の問題もあります。
参考程度に僕が調べた大学のQualifying Examの内容のリンクを張っておきます。
>Qualifying Examの例
まとめ
ポイントをまとめます。
ポイント
始めの1~2年は必修単位要件を満たすので大変
日本の大学院の方が必修単位が少ないので、すぐに研究に集中できる
日本で修士を取る場合は、単位変換可能な科目を多く履修すること
Qualifying Examという試験があり、原則締め切りまでに合格する必要がある
制度やPhDプログラムの内容は大学やプログラムによって異なるので、リアルタイムで興味のある大学を調べてみるのが一番です。
また、僕はよく調べずに進学してしまったので、もっと他の大学と比較して決断すれば良かったと少し後悔しています。
できるだけ情報を集めて、後悔のないように、他の方のブログや書籍でも情報収集してみてください。
僕がおすすめしている本を紹介しておきます。
おすすめ書籍
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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